登山事故

民事訴訟が提起された登山事故一覧(昭和時代発生事故分)

裁判で損害賠償請求がおこなわれた登山事故について

前提として

山岳地帯の事故のうち、登山事故の件数は、①何を登山事故と考えるか、②争われた民事訴訟の判決文をすべて入手できるわけではないことという事情もあり、正確な数字を挙げることは困難です。

①については、山岳地帯へのバス旅行などで駐車場から遊歩道を少し歩いたもの、木道が整備されている遊歩道のハイキング、小学校の遠足までを登山に含めるかという問題です。
この点につきましては、各人で見解が異なるもので、正確な定義があるものではないと思います。
そこで、ここでは一応、登山雑誌などで登山として扱われている山岳地帯での山登りを登山と考えてみます。

②に関しては、訴訟記録は公開が原則とされていることから、概念的にはすべての判決で閲覧は可能ということになり得ます。
訴訟記録は訴訟が係属した(事件が取り扱われ法廷が開かれた)裁判所で一定期間保管され(一定期間経過後原則廃棄)されていること、訴訟記録を閲覧する際には、保管されている裁判所で事件番号(訴訟では、事件ごとに事件番号が振られます。)を特定する必要が原則としてあります。
しかし、報道されるなどして、登山事故が裁判となっていることを知らない限り、上記の手順の必要な訴訟記録の閲覧は事実上困難です。
そこで、ここでは、特に断りのない限り、一般的に公表されている判決文を母集団としてあつかうこととします。

民事訴訟で損害賠償請求がおこなわれた登山事故

これまで、損害賠償請求訴訟が提起され、判決まで至った登山事故は、判決文が一般的に公表されている事件としては、17件あります。訴訟が提起されたものの、1審判決前に和解が成立した事件、判決文が一般的には公表されていない事件(1審で一部認容、控訴審で和解成立した事件が1件確認されています。)は含まれていません。
その17件のうち、6件では請求が全部棄却されていますが、11件(事故としては10件)では、請求が一部または全部認容されています。
ここでの、裁判の結果は、控訴、上告された事件は、上級審の判決(控訴までされた事件は控訴審、上告までされた事件は上告審の判決)で集計しています。
この記事では、これまでご紹介したブログ記事と各事故のマッピングを目的として、各事故を発生時で時系列に並べ、それらの事故を扱ったブログ記事をご紹介いたします。

昭和時代に発生した登山事故

西沢渓谷転落事故(昭和45年9月15日事故発生)

裁判結果

請求認容、過失相殺(4割)

事故の概要

徳和から乾徳山・黒金山を経て西沢渓谷へ下山してきた4人組パーティーのうち1人が、西沢歩道の途中、谷川の流れを覗き込もうとし、観光協会の関係者によって設置されていた柵の横木に寄りかかりあるいは横木の上に両手を置き体重をかけたところ、横木が折れ、谷川へ転落、死亡した事故。

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木曽駒ケ岳雪崩事故(昭和52年3月30日事故発生)

裁判結果

請求認容
OBは過失相殺(2割)

事故の概要

3月末に学生7名、OB1名と教員2名の計10名からなる高等専門学校登山部のパーティーが西駒山荘内にテントを張り宿泊した翌日、下山開始から約1時間半後、樹林の途切れた沢の上部をトラバースしはじめたところで表層雪崩にあい、学生7名中6名及びOB1名の計7名が雪崩に巻き込まれ圧死した事故。
裁判は、死亡した学生1人の両親が第1次訴訟を提起したのち、死亡した学生6名およびOB 1名の親が第2次訴訟を提起した。

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残雪の八ヶ岳縦走遭難事件(昭和53年4月29日事故発生)

裁判結果

請求認容、過失相殺(3割)

事故の概要

静岡県の団体が主催し30名程度が参加した、昭和48年4月末の残雪期の八ヶ岳を麦草峠から編笠岳を経て小淵沢へ縦走するツアー(前日車中泊、赤岳石室(現:赤岳展望荘)1泊予定)において、4月29日の午後に横岳稜線付近で20歳代の方が登山道から滑落あるいは転落して死亡した事故。

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冬季石鎚山滑落事故(昭和54年3月8日事故発生)

裁判結果

請求棄却

事故の概要

3月中旬、私立大学のワンダーフォーゲル部部員4名のクラブ活動の一環としての石鎚山登山時、雪面をトラバース中、メンバーのひとりが、約300m下方の岩場まで滑落し死亡した事故。

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メルガ岐沢渡渉事故(昭和58年7月27日事故発生)

裁判の結果

請求棄却

事故の概要

公立高校の山岳部の夏山山行において、部員1名が増水していたメルガ岐沢遡行中に転倒し流され死亡した事故。

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日和田山転落事故(昭和60年5月12日事故発生)

裁判結果

請求認容、過失相殺(3割)

事故の概要

入会6か月目でロッククライミングの練習をしたことのない山岳会会員が、クライミングの経験豊富な同じ山岳会の会員との日和田山でのクライミング練習中に転落したもので、事故当時、経験豊富な会員が受傷者をビレイしていた。

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六甲山落石事故(昭和60年11月7日事故発生)

裁判結果

請求棄却

事故の概要

私立高校の校外行事としておこなわれた六甲山登山において、生徒が落石事故により死亡した事故。

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石鎚山転落事故(昭和61年5月15日事故発生)

裁判結果

請求認容

事故の概要

公立中学が学校教育行事の一環として実施した石鎚山登山において、山頂付近で昼食をとっていた生徒の帽子が約3m下の岩の上に落ち、これを生徒が採ろうとして足を滑らせ、絶壁を約80m転落、脳挫傷等の傷害を負った事故。

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