相続

法定相続人と法定相続分について

法定相続人、法定相続分とは

人(被相続人)が死亡すると相続が開始します。

被相続人が遺言を残していた場合、原則として、遺言に従って相続財産は相続されます。

しかし、被相続人が遺言を残さなかった場合、被相続人と一定の関係にある法定相続人が、法定相続分(法定相続割合)に従い、相続財産を相続することとなります。
この法定相続人の範囲については、民法886条~895条において規定されています。
また、法定相続分に関しては、民法900条、901条において規定されています。

法定相続人について

法定相続人の2類型

民法では、法定相続人について、

A 被相続人の配偶者(夫または妻)

B 被相続人と一定の親族関係にある配偶者以外の相続人

に分けて定めており、Aの被相続人の配偶者1名およびBの被相続人と一定の関係にある配偶者以外の相続人(複数人存在する場合もあります)が、同時に(一緒に)法定相続人となります。

配偶者について

Aの被相続人の配偶者(以下「配偶者」といいます。)は、常に法定相続人となります(民法890条)。
しかし、配偶者に相続人としての欠格事由(民法891条)が存在する場合、および配偶者が廃除されていたような場合(民法892条~895条)、配偶者は相続人とはなりません。
尚、このように配偶者が相続人とならない場合でも、他の人が配偶者の代わりに法定相続人となるわけではありません。

配偶者以外の相続人について

Bの被相続人と一定の親族関係にある配偶者以外の相続人(以下「配偶者以外の相続人」といいます。)については、被相続人との親族関係により相続順位(優先順位)が決められています。相続順位が前の親族が存在しない場合、次の相続順位の人が法定相続人となります。相続順位の異なる人が同時に法定相続人になるわけではありません。

配偶者以外の相続人には、胎児も含まれます。
実際には、胎児が無事に出生した段階で法定相続人として相続することになります。

流産などで胎児が死体として生まれた場合、当初より胎児は法定相続人ではなかったものとして扱われます。その場合、胎児と相続順位が同順位の人が他にいなければ、後順位の人が法定相続人となります。
例えば、相続開始時点では、既に出生している子が存在せず胎児のみが存在していたが、その後、胎児が死体として生まれたような場合、後順位である被相続人の親が配偶者以外の相続人として法定相続人となります。

一方、相続開始時に胎児以外の既に出生した子が存在しており、その後、胎児が死体として生まれた場合、相続開始時に出生していた子のみが配偶者以外の相続人として扱われることとなります。

尚、親族関係上、配偶者以外の相続人に該当する人も、相続人としての欠格事由が存在する場合(このような人を「相続欠格者」といいます。)およびその人が廃除されていたような場合、相続人とならないことは配偶者の場合と同様です。

配偶者以外の相続人の相続順位

配偶者以外の相続人の相続順位については、民法887条および889条により、次のように規定されています。


  1. 子が相続開始時に死亡、相続欠格者および廃除により相続人とならない場合は、子の子(孫、ただし、直系の孫に限る)、更にその孫が同様な理由で相続人とならない場合は、孫の子
  2. 直系尊属
    親等の近い人から順に
  3. 兄弟姉妹
    兄弟姉妹が死亡、相続欠格者、廃除により相続人とならない場合は、その子(甥姪)

2の直系尊属は、まず、両親、両親がいない場合は直系の祖父母、更に祖父母もいない場合は曾祖父母といったように世代を遡っていきます。
また、上記の1の子、あるいは3の兄弟姉妹が相続人とならない場合、それらの子が代って相続人となることを代襲相続といい、代襲する人を代襲相続人(代襲者)といいます。

法定相続分について

法定相続分

法定相続分は、上記のAの配偶者とBの配偶者以外の相続人の組み合わせにより異なってきます。
具体的な法定相続分は次のようになります。

法定相続人(組合せ)配偶者 子直系尊属兄弟姉妹
配偶者のみ
配偶者と子1/21/2
配偶者と直系尊属2/31/3
配偶者と兄弟姉妹3/41/4
子のみ
直系尊属のみ
兄弟姉妹のみ

複数の配偶者以外の相続人の扱い

また、配偶者以外の相続人が、複数人いる場合、均等で相続分を分け合うのが原則です。

しかし、兄弟姉妹に関しては、父母の一方のみが同じ兄弟姉妹の相続割合は、父母双方が同じ兄弟姉妹の半分となります。
例えば、3人兄弟姉妹の長女が死亡し、長女と異父姉弟の関係にある弟および長女と父母共に同じ関係にある妹の2人のみが法定相続人であった場合、弟の相続分と妹の相続分の割合は1:2となります。よって、弟の相続分が1/3、妹の相続分は2/3となります。

代襲相続人の扱い

同じ人を代襲する代襲相続人が複数人存在する場合、代襲相続人は代襲した人の相続割合を均等に分け合うこととなります。

例えば、配偶者が相続開始時に生存しており、配偶者以外の相続人として子が2人いる場合、配偶者以外の法定相続分の1/2を子2人が均等で分け合うことから、各々の子の法定相続割合(各々の法定相続分の遺産全体に対する割合)は、1/2÷2=1/4となります。

また、子2人のうち、1人が相続開始時に死亡していたが、その子の直系の子(孫)が2人おり、その2人が代襲相続人となる場合、各々の孫の法定相続割合は、子が相続開始時に生存していたと仮定した場合に上記の計算式で算出される相続割合1/4を孫2人が均等に分け合うこととなり、孫の各々の法定相続割合は1/8となります。

法定相続人から除外される事情

本来であれば被相続人との親族関係から法定相続人となり得る人も、欠格事由が存在する場合及び廃除されていた場合には法定相続人にはなりません。
ただし、子、孫および兄弟姉妹が相続欠格者あるいは廃除により法定相続人になれないときには、それらの子が代襲相続することとなります。

相続欠格者について

民法891条が規定する欠格事由に該当する人は法定相続人になれません。
このことを相続欠格ということもあります。
そして、前述のとおり、欠格事由に該当する人を相続欠格者といいます。
同条は、相続欠格者として下記の5類型を規定しています。

  • 故意に被相続人又は先順位あるいは同順位の相続人を死亡させたか、死亡させようとしたことにより刑に処せられた人
  • 被相続人の殺害されたことを知っていながら告発および告訴をしなかった人(ただし、その人が是非の弁別がないとき、殺害者がその人の配偶者若しくは直系血族であったときは相続欠格者とはならない。)
  • 被相続人を詐欺又は強迫することにより、被相続人が相続に関する遺言をしたり、撤回したり、取り消したり、又は変更することを妨げた人
  • 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせたり、撤回させたり、取り消しをさせたり、又は変更させた人
  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した人

これらに該当する人は、相続欠格者となり、法定相続人とはなれません。

廃除について

遺留分を有する推定相続人が、被相続人を虐待したり、被相続人に重大な侮辱を加えたり、あるいは著しい非行が認められるような場合、家庭裁判所により廃除の審判がなされますと法定相続人にはなれません。

廃除の手続きには、被相続人が家庭裁判所に請求する方法(民法892条)と、遺言に基づき遺言執行者が家庭裁判所に請求する方法(民法893条)があります。

尚、「遺留分を有する推定相続人」の「遺留分」とは、法律により、一定の相続人に対し、留保されている遺産の一定割合のことです。

この遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人が有するものであり、「遺留分を有する推定相続人」としては、兄弟姉妹以外の法定相続人となり得る人ということとなります。配偶者、子(その代襲相続人)、直系尊属が該当し得ます。
兄弟姉妹が廃除の対象から除外されているのは、兄弟姉妹には遺留分がないことから、被相続人が兄弟姉妹へ遺産を残したくないと思えば、遺言により該当する兄弟姉妹への相続分をゼロにすれば済むからです。
一方、遺留分がある子へ遺産を取得させたくないと思い、その子への相続分をゼロとする内容の遺言を残しても、その子は遺留分侵害額請求権を行使することにより、実質的に遺産の一部を取得することとなります。
子の場合、廃除をしなければ、遺産を一切取得させないということは出来ません。

尚、遺留分に関しましては、下記の記事で扱っておりますので参考にしていただければと思います。

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