登山事故

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登山事故の法律問題のご相談

近年、登山者の裾野の広がり、登山形態の変化(商業ツアー、SNSで集まった初対面者のパーティー登山等)による登山事故も増加しております。
当事務所では、まず、登山事故の原因の分析をおこない、その分析結果から法的な問題点を抽出し、事案に適したトラブル解決のお手伝いをいたします。

登山事故の法律問題とは

登山は他のレジャー・スポーツ等と比べて自己責任を問われる範囲が広いものと言えます。それは、あえて危険の内在する環境に自ら身を置くことに由来するものと考えられます。
確かに、滑落事故、道迷い遭難等登山事故の多くは登山者自身の責任に基づくものです。しかし、自己責任とされている事故の中には他者の責任が問題となることも皆無ではありません。このことは、有罪判決が下された登山事故の刑事事件、損害賠償請求が認容された登山事故の民事裁判の判例が少なからず存在することからも分かります。

法的責任が問題になりうるのは

しかし、類似の事件で裁判で損害賠償請求が認容されているからといって、問題となっている登山事故に他者の責任もあるとは限りません。
法的観点からは登山事故を下記のような類型に分類することが出来ますが、それぞれの類型ごとに法律上の問題点も責任の内容・所在も異なります。
判例を見るときには、その判例がどの類型の事故の裁判なのかをまずは意識しなければなりません。
他者の責任が疑われる登山事故にあわれた場合、事故を法的観点から見直し、法律的な評価をおこなう上で必要な情報を収集し、同じ類型の登山事故の判決を参考にしながら問題となっている登山事故の法的な評価を行う必要があります。

法的責任をどのように判断するのでしょうか

同じ類型の登山事故の判決を参考にする場合、参考にした裁判と今問題となっている登山事故の事実関係の違いを十分に意識する必要があります。
その違いを意識して法的評価を行った上で、登山事故において他者に法的責任が生じているとお考えになった場合、損害賠償請求を検討することとなります。

損害賠償請求額について

他者に登山事故の法的責任が生じていると判断され、損害賠償請求をおこなう場合、事故により生じた損害額を算定し、請求額を決めていくこととなります。
損害額の算定に際しては、過去の登山事故の裁判において、どのようなカテゴリーの損害が認められているのか、その金額はどのような水準なのか、過失相殺はどのような場合におこなわれているのか等を参考にしていくこととなります。
登山事故の裁判において損害賠償請求が(一部)認容された事故数は、判決文が一般的に公表されているものでは、これまで10件程度に過ぎません(山岳地帯で発生した事故のうち、いずれの事故を登山事故と考えるかについては明確な基準があるものではないことから、あくまでも参考件数ととらえてください。)。
それらの損害賠償が認定された裁判において認容された損害額をまとめたものが下記の参考資料「登山事故損害賠償請求認容額」となります。尚、同一事故で複数の遭難者が発生しているもの、同一事故の遭難者(遭難者親族)が複数のグループに分かれて裁判を提起したものもあることから、裁判で損害が認容された登山事故の数と裁判数・遭難者(遭難者親族)人数は異なっています。
請求が認容された裁判では、①治療費、②逸失利益、③慰謝料、④葬儀・埋葬関連費用(死亡事故の場合)、⑤弁護士費用が損害として認められています。しかし、下記の参考資料からも分かりますように、登山事故の発生状況によっては、過失相殺がなされるケースも少なくはありません。
一般的には、登山事故の①治療費、②逸失利益の算出に際しては、交通事故の損害額の算出に用いられる「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)が参考になります。
③慰謝料は、死亡事故においては、死亡した遭難者本人に対する慰謝料とともに、遭難者の近親者独自の慰謝料が認定されています。下記の参考資料の慰謝料の金額は、遭難者本人に対する慰謝料と近親者独自の慰謝料を合計した金額となっています。

当事務所へのご相談について

当事務所では、登山事故の判例、その他の類似事件の判例なども参考にして 、他者が法的責任を負っているかの検討及び法的責任が考えられる場合の損害額算定のお手伝いをおこなっております。
また、事情に応じ、損害賠償請求を行う際の裁判外の交渉あるいは裁判手続きのお手伝いもおこなっております。
登山事故の法的問題にお悩みの方はお気軽にご相談ください。


登山事故の類型

  • 商業ツアーでの事故
  • 学校登山(遠足登山、訓練登山等)での事故
  • 学校の課外活動(登山部、ワンダーフォーゲル部等)登山での事故
  • 職場の訓練登山での事故
  • その他のパーティー登山(同好会、仲間内等)での事故
  • 登山道の整備が問題となる事故
  • 遭難者救助時の事故(二重遭難事故)
  • 落石事故
  • その他の事故

(参考資料) 登山事故損害賠償請求認容額