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株主総会議事録の記載内容が実際の決議と異なる場合について

株主総会議事録の記載内容の問題

株主総会後に株主総会議事録を入手したところ、実際に決議された事項と異なる記載がなされていた場合、記載内容の訂正を求めることが出来るのでしょうか。

株主総会議事録の法的性質

まず、株主総会議事録の法的性質についてみてみます。
株主総会議事録は、単に決議の結果のみを記載したものではなく、株主総会における議事の経過や議決の内容等を記録した交書で、会社法により作成が義務づけられています(会社法318条1項)。
そして、株主総会議事録には株主総会の議事進行等に関して証拠とはなり得ますが、議事録に記載がなくても実際の決議の効力には影響はなく、議事録が作成されなくても決議は有効で(大判昭和16年3月25日)、また、株主総会で決議されていない事項は株主総会議事録に記載されていても決議があったことになるわけではない(東京地判昭和35年2月19日)と考えられています。
また、株主総会の決議内容に関しては、株主総会議事録以外の証拠で株主総会議事録記載事項と異なる内容を主張することもできます。

実際の決議内容と異なる記載への対応策

しかし、株主総会議事録の内容が実際と異なる場合でも、法的に会社に対し株主総会議事録の修正・訂正を求める請求権が特に存在するわけではないとされています。事実上の交渉により修正を求めるしかないものと考えられます。
ただし、株主総会の決議が実際には存在していないのに決議されたような内容の株主総会議事録が作成され、その株主総会議事録をもとに商業登記がなされたような場合、実際には株主総会決議がなされていないのですから、株主総会決議不存在と考えられます。そこで、株主総会議事録を根拠に何らかの行為がなされた場合、株主総会の決議不存在確認の訴えを提起することが考えられます。
また、株主総会の決議を要する業務に関し、実際の株主総会決議がないにもかかわらず決議のあったような株主総会議事録が作成され、それをもとに業務執行がなされた場合、当該行為は不法行為となることがあります。そこで、このような場合、当該業務執行を指揮する取締役に対し、業務の執行を止めるよう差止請求をおこなうことが考えられます(会社法360条)。また、取締役の任務懈怠責任を追及することも考えられます(会社法429条・847条)。

株主総会議事録の作成時期

最後に株主総会議事録の作成時期には決まりがあるのでしょうか。
作成期限につきましては、法律上直接は決まってはいませんが、2週間以内に作成する必要があるとする説が有力です。これは、株主総会決議事項が登記事項である場合、決議の日から2週問以内に本店所在地において変更の登記をする必要があること(会社法915条1項)等を根拠にしています。

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